顧客ヒアリング項目をAIで作るプロンプトテンプレート 聞き漏れを減らし、次の提案につなげる書き方
顧客ヒアリングの準備で一番困るのは、「何を聞くべきか」が曖昧なまま会議に入ってしまうことです。AIには、業種、商談段階、相手の役職、こちらの目的を渡すと、初回商談や要件確認で使える質問リストを短時間で作れます。
この記事では、営業、カスタマーサクセス、制作・開発の初回打ち合わせで使いやすい 顧客ヒアリング項目作成用プロンプト を紹介します。ChatGPT、Claude、Gemini などの汎用LLMで使える形にしていますが、出力は必ず人が確認し、機密情報や個人情報は入れない前提で使ってください。
この記事で分かることは次の3つです。
- 顧客ヒアリング項目を作るためのコピペ用プロンプト
- 入力時に変える項目と、固定しておくと安定する条件
- NG例、改善例、出力を実務で使える形に整えるコツ
ここがポイント: AIに「質問を考えて」とだけ頼むと、一般論の質問が並びます。商談の目的、相手、聞いた後に作りたい成果物まで指定すると、会議で使える質問に近づきます。
どんな場面で使うプロンプトか
このテンプレートは、顧客との会話を「雑談で終わらせず、次の提案や見積もりに進める」ための質問リストを作る用途に向いています。
たとえば、次のような場面です。
- 初回商談の前に、相手の課題を聞く項目を整理したい
- Web制作、システム開発、業務改善などの要件確認で抜け漏れを減らしたい
- カスタマーサクセスの定例会で、利用状況と不満を聞きたい
- 既存顧客への追加提案前に、現状と予算感を確認したい
- 社内メンバーにヒアリングを任せるため、質問項目を標準化したい
顧客ヒアリングで大事なのは、質問の数を増やすことではありません。聞いた後に、判断や提案に使える情報が残ることです。
そのため、このプロンプトでは「質問」「質問の意図」「回答から判断すること」をセットで出す形にします。会議中に聞くだけでなく、会議後に提案書、見積もり、要件メモへつなげやすくするためです。
コピペ用プロンプトテンプレート
まずは、そのまま使える基本形です。{} の中を自分の案件に合わせて書き換えてください。
あなたはBtoB商談と顧客ヒアリングに慣れた業務支援担当者です。
以下の条件に合う、顧客ヒアリング項目を作成してください。
【目的】
{今回のヒアリングで達成したいこと}
【顧客情報】
- 業種: {顧客の業種}
- 企業規模: {従業員数や拠点数など}
- 相手の役職・担当領域: {例: 経営者、営業責任者、情報システム担当、現場責任者}
- 現在分かっている課題: {事前に分かっている困りごと}
【こちらの立場】
- 提供サービス・商品: {自社の商品やサービス}
- 商談段階: {初回相談 / 要件確認 / 提案前 / 導入後フォロー}
- ヒアリング時間: {例: 30分、60分}
【出力してほしい形式】
以下の見出しで整理してください。
1. 最初に確認する基本情報
2. 現状と困りごとを把握する質問
3. 予算・期限・意思決定を確認する質問
4. 提案内容を決めるための深掘り質問
5. 聞かない方がよい質問・注意点
6. 会議後に整理すべきメモ項目
各質問には、次の3点を付けてください。
- 質問文
- その質問をする目的
- 回答から判断できること
【制約】
- 質問は合計15個以内にしてください。
- 初回の相手にも失礼にならない自然な聞き方にしてください。
- 専門用語を使う場合は、短く補足してください。
- 個人情報や機密情報を直接聞き出す表現は避けてください。
- 最後に、優先して聞くべき質問を5つだけ再掲してください。
このテンプレートの核は、「質問文」だけで終わらせない点です。
質問の目的が分かると、会議中に順番を入れ替えやすくなります。回答から判断できることまで出しておけば、聞いた内容を提案条件、見積もり条件、次回アクションに変換しやすくなります。
入力時に変える項目と、固定した方がよい条件
AIに渡す情報は、細かければよいわけではありません。顧客名や個人名を入れなくても、業種、役職、商談段階があれば実用的な質問は作れます。
変える項目
案件ごとに変えるべき項目は、次の5つです。
{今回のヒアリングで達成したいこと}: 課題把握、見積もり前の要件確認、導入後の不満整理など{顧客の業種}: 製造、小売、医療、教育、士業、SaaS、自治体など{相手の役職・担当領域}: 決裁者か、現場担当者か、運用責任者か{提供サービス・商品}: Web制作、CRM導入、採用支援、業務改善、研修など{商談段階}: 初回相談、提案前、受注後、導入後フォローなど
特に大きいのは、相手の役職です。
経営者には、費用対効果、優先順位、意思決定時期を聞く必要があります。一方、現場担当者には、日々の作業、困っている手順、例外対応、使っているツールを聞いた方が具体的な情報を得やすくなります。
固定した方がよい条件
一方で、毎回入れておくと出力が安定する条件もあります。
- 質問数の上限を決める
- 質問の目的を付ける
- 回答から判断できることを付ける
- 初回でも失礼にならない表現にする
- 機密情報や個人情報を直接聞かない
- 最後に優先質問だけ再掲する
AIは、条件を入れないと質問を多く出しがちです。会議時間が30分なら、15問すべてを聞くのは難しい場合があります。最初から「優先して聞くべき質問を5つ」と指定しておくと、当日の時間が短くなっても使いやすくなります。
NG例と改善例
ここでは、よくある曖昧な頼み方と、実務で使いやすい頼み方を比べます。
NG例: 質問の目的が見えない
顧客ヒアリングの質問を作ってください。
この指示でも質問は出ます。ただし、業種、相手、商談段階が分からないため、次のような一般的な項目に寄りやすくなります。
- 現在の課題は何ですか
- 予算はどれくらいですか
- いつまでに実施したいですか
悪い質問ではありませんが、このままでは会議の流れを作りにくく、相手によっては唐突に感じられます。
改善例: 会議後の使い道まで指定する
Webサイトリニューアルの初回相談に向けて、顧客ヒアリング項目を作ってください。
相手は中小企業の経営者で、現在のサイトから問い合わせが少ないことに悩んでいます。
会議時間は45分です。
出力は、質問文、質問の目的、回答から判断できることの3列で整理してください。
最後に、時間が足りない場合に優先する5問を選んでください。
初回商談なので、予算や決裁の話は失礼にならない聞き方にしてください。
改善後の指示では、AIが「何のために質問を作るのか」を判断できます。
Webサイトリニューアルなら、現状サイトの役割、問い合わせ経路、更新体制、競合、公開希望時期などを聞く必要があります。経営者相手なら、細かいCMS操作よりも、事業上の目的や投資判断に関わる質問を優先できます。
出力を安定させるコツ
顧客ヒアリング用のプロンプトは、出力形式を固定すると使いやすくなります。おすすめは、表形式に近い見出しつきの箇条書きです。
Markdownの表でもよいのですが、質問文が長くなるとスマホで読みにくくなります。まずは、次のようなブロック形式を指定すると扱いやすいです。
出力形式は次の形にしてください。
### 質問カテゴリ名
1. 質問文:
目的:
回答から判断できること:
聞き方の注意:
制約を先に決める
AIに自由に出してもらう前に、会議の制約を渡します。
- 会議時間は何分か
- 初回か、既存顧客か
- 相手は決裁者か、現場担当者か
- こちらは提案前か、受注後か
- 最後に何を作りたいか
この「最後に何を作りたいか」が見落とされがちです。
ヒアリング後に見積もりを作るなら、範囲、納期、予算、前提条件が必要です。提案書を作るなら、課題の優先順位、成功条件、比較対象が必要です。議事録だけでよい場合と、次回提案に進む場合では、聞くべき内容が変わります。
確認手順も頼む
質問リストを作った後は、AIにセルフチェックもさせます。
作成したヒアリング項目について、次の観点で見直してください。
- 初回の相手に失礼な聞き方がないか
- 予算、決裁、期限を直接的に聞きすぎていないか
- 質問が似た内容で重複していないか
- 会議時間内に聞ける量になっているか
- 提案や見積もりに必要な情報が抜けていないか
問題があれば、修正版を出してください。
最初の出力をそのまま使うより、1回見直しを挟む方が安定します。OpenAI、Anthropic、Google の公式ガイドでも、目的や制約、望む出力形式を明確にする考え方が共通して紹介されています。サービスごとに細かい書き方は違っても、「何をしてほしいか」「何を材料にするか」「どんな形で返すか」を分けるのは、汎用LLMで使いやすい基本です。
業務カテゴリ別の応用テンプレート
同じ顧客ヒアリングでも、部門や目的が変わると質問の中心が変わります。ここでは、業務カテゴリ別に短い追加指示を用意します。
営業: 初回商談向け
追加条件:
初回商談で使うため、相手が話しやすい順番に並べてください。
最初は現状確認、次に課題、最後に予算・時期・意思決定の確認へ進む流れにしてください。
売り込みに見える質問は避け、相手の状況理解を優先してください。
営業の初回商談では、いきなり予算や決裁者を聞くと相手が構えることがあります。順番の指定が重要です。
開発・制作: 要件確認向け
追加条件:
システム開発またはWeb制作の要件確認で使います。
業務フロー、利用者、既存ツール、必須機能、対象外にする範囲、公開・導入希望時期を確認できる質問を含めてください。
要件が曖昧な場合に深掘りする追加質問も付けてください。
開発・制作では、「やりたいこと」だけでは足りません。対象外にする範囲を聞くことで、見積もりやスケジュールのズレを減らせます。
カスタマーサクセス: 既存顧客フォロー向け
追加条件:
既存顧客への定例フォローで使います。
利用状況、困っている操作、成果が出ている点、使われていない機能、解約リスク、追加支援の必要性を確認できる質問にしてください。
相手を責める印象にならない表現にしてください。
既存顧客向けでは、問題点だけを聞くと会話が重くなります。成果が出ている点も聞くと、次の支援策を組み立てやすくなります。
分析・改善: 課題整理向け
追加条件:
業務改善やデータ分析の前段階として使います。
現在の作業手順、発生頻度、作業時間、関係者、例外対応、困っている理由、改善できた場合の効果を確認できる質問にしてください。
数値で答えられる質問と、自由回答の質問を分けてください。
分析目的では、感想だけでなく数値が必要です。ただし、相手がすぐに正確な数字を出せない場合もあります。「分かる範囲で」と添えると答えやすくなります。
出力形式を変えたいときの追加指定
顧客ヒアリング項目は、使う場面によって出力形式を変えると便利です。
会議メモ用の形式
出力は、会議中にそのままメモできる形式にしてください。
各質問の下に「回答メモ: 」の空欄を付けてください。
チーム共有用の形式
出力は、担当者が事前準備に使えるチェックリスト形式にしてください。
質問カテゴリごとに、必ず確認する項目と、時間があれば確認する項目に分けてください。
CRM入力用の形式
出力は、CRMに転記しやすいように次の項目で整理してください。
- 顧客課題
- 現在の対応方法
- 予算感
- 導入希望時期
- 意思決定者
- 次回アクション
- 未確認事項
CRMやスプレッドシートに入れる前提なら、質問そのものよりも「後で残す項目」を先に決める方が使いやすくなります。
使う前のチェックリスト
最後に、作成したヒアリング項目を使う前に確認します。
- 顧客名、個人名、秘密情報をAIに入れていないか
- 初回の相手に聞いても不自然ではない順番になっているか
- 質問が多すぎないか
- 予算、決裁、期限の聞き方が強すぎないか
- 質問の目的が自分で説明できるか
- 会議後に作る資料や次回アクションにつながるか
- AIの出力をそのまま使わず、自社の言い方に直したか
顧客ヒアリングの質は、当日の会話力だけで決まりません。事前に「何を聞き、何に使うか」を決めておくことで、会議後の提案、見積もり、要件整理が進めやすくなります。
次に見るべきポイントは、質問数ではなく 回答後に何を判断できるか です。AIで作った質問リストを見直すときは、その質問の答えが次の提案、見積もり、支援内容のどこに使われるのかを1つずつ確認してください。
