カスタマージャーニーを設計するマーケティングプロンプト
このプロンプトは、商品やサービスの見込み客が「認知→比較→検討→購入→継続」に進む流れを、施策に落とせる粒度で整理したい人向けです。マーケ担当者、個人事業主、ブログ運営者、LPやメール導線を作る担当者なら、そのまま下書きとして使えます。
先に結論を言うと、カスタマージャーニー用のプロンプトは、ただ「ペルソナを作って」で終えると弱いです。商品、対象顧客、各段階の障害、使いたい出力形式まで一度に指定したほうが、施策に使える形で返りやすくなります。
- 何に使うか: 顧客導線の整理、訴求軸の発見、コンテンツ設計、広告やメールの役割分担
- 誰向けか: マーケ初心者から中級者、社内提案用の叩き台を短時間で作りたい人
- 狙う出力: フェーズ別の顧客心理、課題、接点、施策案、KPIを一覧化した下書き
- 相性がいいモデル: ChatGPT、Claude、Gemini などの汎用LLM
ここがポイント: カスタマージャーニーのプロンプトは、人物像よりも「各段階で何が止まり、何を見せると進むか」を具体化したほうが使いやすくなります。
このプロンプトで作れるもの
カスタマージャーニーは見た目がきれいでも、施策に結びつかなければ役に立ちません。実務では、次のような出力があると動きやすくなります。
- 認知段階で刺さる訴求と配信チャネル
- 比較段階で読まれる記事、LP、比較表の切り口
- 検討段階で必要なFAQ、導入事例、無料体験導線
- 購入後の不安を減らすオンボーディング案
- 継続率や再購入率を見るための観測指標
たとえばBtoBのSaaSなら、認知では「そもそも何の課題を解決するのか」が重要です。一方、比較段階では料金表、導入の手間、既存ツールとの違いが効きます。同じ商品でも、段階ごとに必要な情報は変わります。
コピペ用プロンプトテンプレート
以下は、汎用LLM向けに使いやすい形に寄せたテンプレートです。表でも箇条書きでも出せますが、最初は項目が崩れにくいMarkdown表か見出し付き箇条書きがおすすめです。
あなたはマーケティング戦略アシスタントです。
以下の情報をもとに、{商品・サービス名}のカスタマージャーニーを設計してください。
# 目的
- {今回の目的}
例: 新規リード獲得、LP改善、メール導線設計、SNS施策整理
# 前提情報
- 商品・サービス: {商品・サービスの概要}
- 価格帯: {価格帯}
- 対象顧客: {想定顧客}
- 提供地域: {地域}
- 販売形態: {単発購入 / サブスク / 問い合わせ受注 / 店舗来店 など}
- 強み: {強み}
- 競合比較で弱い点: {弱みや不利な点}
- 利用チャネル: {Webサイト / 広告 / SEO / SNS / メール / 営業 など}
# 作成してほしい内容
認知・興味関心・比較検討・購入・継続の5段階で、各項目を整理してください。
- 顧客の状態
- 顧客の悩み・疑問
- 離脱要因
- 有効な訴求
- 有効なコンテンツや接点
- 担当チームの打ち手
- 観測したいKPI
# 出力条件
- [出力形式]で出力
- 各段階は2〜4行で簡潔にまとめる
- 抽象語だけで済ませず、顧客が実際に考えそうな言葉で書く
- KPIは実務で追いやすい指標に絞る
- 最後に「最優先で改善すべき段階」を1つ選び、その理由を3点書く
# 出力形式
- 第1候補: Markdownの見出し + 箇条書き
- 第2候補: 列が「段階 / 顧客心理 / 課題 / 施策 / KPI」の表
# 追加条件
- {業界特有の制約}
- {避けたい表現}
- {重視したい訴求}
入力時に変える部分
テンプレートの中でも、結果に効きやすいのは次の項目です。
まず埋めるべき項目
{今回の目的}何のためのジャーニーかを明確にします。LP改善なのか、SNS導線設計なのかで出力が変わります。{商品・サービスの概要}1文で十分ですが、「誰のどんな課題を解決するか」は入れます。{想定顧客}「30代女性」だけでは弱く、「EC担当で広告費対効果に悩む小規模事業者」のように役割と課題まで入れると精度が上がります。{利用チャネル}Web、広告、SNS、メール、営業のどこを使うかで現実的な接点が変わります。
固定しやすい項目
毎回大きく変えなくてよい条件もあります。
- フェーズ分け: 「認知・興味関心・比較検討・購入・継続」
- 出力項目: 「顧客心理・課題・施策・KPI」
- 最後のまとめ: 「最優先で改善すべき段階」
この固定部分を残すと、案件ごとの比較がしやすくなります。
NG例と改善例
悪いプロンプトは、モデルが考える余地を広くしすぎます。そうなると、きれいだが浅い出力になりやすいです。
NG例
新商品のカスタマージャーニーを作ってください。マーケティングに使いたいです。
この書き方だと、次の問題が出ます。
- 誰向けの商品かわからない
- どのチャネルを前提にするか不明
- 何に使う資料か不明
- 出力形式が曖昧で、比較しにくい
改善例
中小企業向けの勤怠管理SaaSについて、Web集客とメール導線の改善に使うためのカスタマージャーニーを作成してください。
対象は、従業員30〜100名規模の企業で、総務担当者または管理部門責任者です。
認知・興味関心・比較検討・購入・継続の5段階で、顧客心理、疑問、離脱要因、有効な訴求、接点、施策、KPIを整理してください。
最後に最優先の改善段階を1つ選び、理由を3点示してください。
出力は見出し付き箇条書きで簡潔にまとめてください。
改善後は、用途、対象、段階、出力項目、形式がそろっています。ここまで決めると、社内メモとして流用しやすい下書きが返りやすくなります。
出力を安定させるコツ
OpenAIの prompting ガイド、Anthropicの prompt engineering overview、Googleの prompt design strategiesでも、共通して「明確さ」「構造化」「例示」が重要だと案内されています。カスタマージャーニーでも、この3つがそのまま効きます。
1. 役割ではなく評価軸を入れる
「あなたは優秀なマーケターです」だけでは弱いです。代わりに、何を良い出力とみなすかを入れます。
例:
- 顧客の悩みは実際の検討場面で出る言葉で書く
- 施策はチャネルに紐づける
- KPIは追えるものだけに絞る
2. フェーズ名を固定する
案件ごとに段階名が揺れると、比較しにくくなります。まずは以下で固定すると運用しやすいです。
- 認知
- 興味関心
- 比較検討
- 購入
- 継続
必要ならあとで「紹介」「再購入」を足します。
3. 出力形式を先に決める
欲しいのが会議用メモなのか、スプレッドシート貼り付け用なのかで指定を変えます。
使い分けの例:
- ざっと整理したい: 見出し + 箇条書き
- チームで比較したい: 表形式
- 他ツールに流したい: JSON
JSONで欲しい場合は、次の一文を足すと扱いやすくなります。
出力はJSONで、各段階を配列にし、keysは stage, customer_mindset, pain_points, blockers, messages, touchpoints, actions, kpi としてください。
4. 最後に自己点検を入れる
長い出力ほど、途中で抽象化しすぎることがあります。最後に見直し条件を足すと、雑な一般論を減らしやすくなります。
回答前に自己点検してください。
- 各段階の違いが明確か
- 施策がチャネルと結びついているか
- KPIが実務で測定可能か
- 抽象語だけで終わっていないか
活用例と応用パターン
同じテンプレートでも、目的を変えるとかなり使い道が広がります。
LP改善に使う
- 比較検討と購入の段階を厚めに出す
- 離脱要因に「料金」「実績」「導入の手間」を含める
- CTA前後で必要な情報を抽出する
SNS運用に使う
- 認知と興味関心を厚めに出す
- 顧客の悩みを短文に圧縮してもらう
- 投稿ネタ、クリエイティブ軸、導線先まで分ける
メール導線に使う
- 購入前後の不安を細かく出す
- 段階ごとに送るべきメールの役割を分ける
- 開封率ではなく、次アクション率も見る
モデルをまたいで使うときの見方
2026年4月21日時点で、主要なLLMの公式ドキュメントはいずれも、明確な指示、構造化、例示、評価の反復を重視しています。したがって、このテンプレートは特定モデル専用にせず、まずは共通形で作り、必要に応じて調整するのが現実的です。
見直すポイントは次の3つです。
- 出力が長すぎるなら、各段階の文字数上限を入れる
- 抽象的なら、顧客の役割と課題を細かくする
- 形式が崩れるなら、表かJSONに固定する
使う前のチェックリスト
- 商品名ではなく、何を解決するサービスかを書いたか
- 想定顧客に役職や担当業務を入れたか
- チャネルを指定したか
- 欲しい出力形式を決めたか
- 最後に優先改善ポイントを出す条件を入れたか
この5点だけでも、出力の使いやすさはかなり変わります。
まとめ
カスタマージャーニー設計のプロンプトで重要なのは、壮大な戦略用語を並べることではありません。どの顧客が、どの段階で、何に迷い、何を見れば次に進むかを、施策とKPIまで落として書かせることです。
最初の1回で完璧なジャーニーを作る必要はありません。まずは1商品、1チャネル、1目的に絞って出し、比較検討か購入のどちらが詰まっているかを見る。そこからLP、広告、メール、SNSに展開したほうが、実務では早く効きます。
次に試すなら、同じテンプレートで「継続段階だけを深掘りする版」か、「比較検討段階だけを競合視点で出す版」を作ると、改善ポイントが見えやすくなります。
