広報担当者向けプレスリリース作成プロンプトテンプレート 初稿を早く整え、事実漏れを減らす書き方
新製品発表、提携、イベント告知、調査結果の公開。広報の現場でAIを使うなら、いちばん効くのは「うまい文章を書かせること」ではなく、必要項目を漏れなく並べさせることです。
特にプレスリリースは、見出しの勢いよりも、1段落目で誰が何をいつ発表したのかが明確かどうかが重要です。そこで使いやすいのが、発表内容、対象読者、使ってはいけない表現、出力形式を最初から固定したプロンプトです。
- 何に使うプロンプトか: 広報担当者がプレスリリースの初稿を作るためのテンプレート
- 誰向けか: 企業・団体の広報、PR、マーケティング、経営企画の担当者
- 想定する出力: 見出し、リード、本文、引用文、ボイラープレート、問い合わせ先までそろった長文ドラフト
ここがポイント: プレスリリース用プロンプトは、文章表現より先に「事実」「禁止事項」「出力欄」を固定すると安定します。
このテンプレートでできること
このテンプレートは、AIに自由作文させるのではなく、広報実務で必要な部品を順番に組ませる設計です。PR Newswireの解説でも、見出し、日付入りの書き出し、要点をまとめたリード、本文、引用、ボイラープレート、連絡先といった基本構成が重要だと整理されています。
実務では、次のような場面で使いやすいです。
- 新サービスや新機能の発表文を短時間でたたき台化したい
- イベント告知の初稿を作り、社内確認に回したい
- 提携、受賞、調査公開などで、情報の抜け漏れを先に洗いたい
- 既存の箇条書きメモから、報道向けの文章に整えたい
このテンプレートの狙いは、完成原稿を一発で出すことではありません。初稿の速度を上げつつ、確認すべき不足情報を見える化することです。
コピペ用プロンプトテンプレート
以下をそのまま使えます。{} と [] の部分だけ差し替えてください。
あなたは企業広報の実務に詳しい編集アシスタントです。
以下の条件に従い、日本語のプレスリリース初稿を作成してください。
# 目的
{今回の発表目的}
# 発表の種類
[{新商品発売 / 新機能追加 / 提携 / イベント開催 / 調査結果公開 / 受賞 / 人事 / その他}]
# 発表主体
- 会社名・団体名: {会社名}
- 事業内容: {事業内容}
- 発表者名: {氏名・役職}
- 所在地: {所在地}
- 公式サイト: {URL}
# 今回の発表内容
- 何を発表するか: {発表内容の要約}
- 発表日: {YYYY年MM月DD日}
- 提供開始日・開催日: {日付}
- 対象者: {顧客 / 取引先 / メディア / 一般消費者 / 採用候補者 など}
- 背景: {市場背景・課題・従来の問題}
- 具体的な特徴: {特徴を3〜5点}
- 数字・実績・根拠: {料金、件数、導入社数、調査数値など。未確定なら「未確定」と書く}
- 今後の予定: {今後の展開}
# 必須で入れたい要素
- 見出しで伝えたい要点: {最重要ポイント}
- リード文に必ず入れる事項: {誰が / 何を / いつ / どこで / なぜ重要か}
- 入れたい引用の趣旨: {コメントの方向性}
- ボイラープレートに入れる会社説明: {80〜120字程度の会社説明}
- 問い合わせ先: {部署名、担当者名、メール、電話}
# 禁止事項
- 未確認の事実を補わない
- 断定できないNo.1表現、最大級表現、業界初表現を勝手に入れない
- 薬機法、景表法、誇大表現に触れうる文言を勝手に強めない
- 実在しない顧客名、導入実績、受賞歴、メディア掲載歴を作らない
- 引用コメントを美辞麗句だけで長くしすぎない
# 出力形式
次の見出しをこの順番で出力してください。
1. タイトル案(3案)
2. 推奨タイトル(1案)
3. サブ見出し(必要なら)
4. 発表日・発表地
5. リード文
6. 本文
7. 代表者コメント
8. 本件のポイント(箇条書き3点)
9. 会社概要(ボイラープレート)
10. 報道関係者向けお問い合わせ先
11. 要確認事項
# 文体と長さ
- 文体はプレスリリースとして自然で簡潔
- 1段落を長くしすぎない
- 本文全体は{400〜700字}を目安
- 1段落目で誰が何を発表したか明示
- 見出しは煽りすぎず、ニュース価値が伝わる形
# 品質チェック
出力前に次を確認してください。
- 5W1Hがリード文に入っているか
- 具体的な数字や日付が不足している箇所は「要確認事項」に回したか
- 引用コメントが抽象的すぎないか
- 記者が拾いやすい事実が本文前半にあるか
不足情報がある場合は勝手に補完せず、「要確認事項」に明記してください。
入力時に変える項目
テンプレートを使うときは、全部を細かく書く必要はありません。ただし、次の4点は省かないほうが安定します。
1. 発表の中身
最低でも次は入れてください。
- 何を発表するのか
- いつ始まるのか
- 誰向けなのか
- なぜ今出すのか
ここが曖昧だと、AIは説明調の長文を作れても、ニュースとしての芯が弱くなります。
2. 数字と事実
たとえば次の情報です。
- 価格
- 提供開始日
- 開催日時
- 対応エリア
- 調査対象数
- 既存サービスとの違い
数字がない発表文は、記者にも社内決裁者にも弱く見えやすいです。未確定なら無理に埋めず、「未確定」と書かせたほうが安全です。
3. 禁止したい表現
広報文では、AIが気を利かせたつもりで言い過ぎることがあります。特に止めたいのは次の表現です。
- 「業界初」「国内初」「圧倒的」「最高」などの最大級表現
- 根拠のない効果断定
- 実在しない第三者評価
- 長すぎる代表コメント
4. 出力欄
「自由に書いて」で済ませず、出力欄を指定してください。
- タイトル案
- リード文
- 本文
- コメント
- ボイラープレート
- 問い合わせ先
- 要確認事項
OpenAI、Anthropic、Googleの公式ガイドでも、指示を明確にし、望む出力形式を具体化することが基本として共通しています。プレスリリースではこの原則がそのまま効きます。
NG例と改善例
同じ「プレスリリースを書いて」でも、指示の粒度で出力はかなり変わります。
NG例
新サービスのプレスリリースを書いて。わかりやすく、魅力的にまとめてください。
この指示だと、次の問題が起こりやすくなります。
- 発表日や提供開始日が抜ける
- 見出しが宣伝寄りになりやすい
- 引用コメントが空疎になる
- 問い合わせ先や会社概要が抜ける
- 事実不足をAIがそれらしく埋める
改善例
BtoB向けの新サービス発表に関するプレスリリース初稿を作成してください。
対象読者は業界メディア記者です。
1段落目で誰が何をいつ発表したか明示し、本文は事実ベースで構成してください。
未確認情報は補完せず、末尾の「要確認事項」に列挙してください。
出力は「推奨タイトル」「発表日・発表地」「リード文」「本文」「代表者コメント」「会社概要」「報道関係者向けお問い合わせ先」「要確認事項」の順にしてください。
変えたのは、表現のうまさではなく設計です。
- 誰向けの記事かを指定した
- 1段落目の役割を固定した
- 補完禁止を明記した
- 出力欄を固定した
これだけで、初稿の使い道がかなり増えます。
出力を安定させるコツ
ここはテンプレート本体と同じくらい重要です。プレスリリースは「それっぽい文章」より「後工程で直しやすい文章」が勝ちます。
出力形式を先に決める
Markdownで見出し付きにする、箇条書きで要点を出す、長文ドラフトにする。ここを先に決めるだけで、修正の手間が減ります。
おすすめは次のどちらかです。
- 社内確認用: 見出しごとに分かれたMarkdown形式
- 配信原稿の下書き用: 長文中心だが、末尾に要確認事項を付ける形式
事実と演出を分ける
1回で完成文を狙うより、段階を分けたほうが安全です。
- 1段階目: 事実整理版を作る
- 2段階目: 文章として整える
- 3段階目: 見出し案を比較する
この順番なら、誇張や事実混入を見つけやすくなります。
引用コメントは「趣旨」を入れる
代表コメントを丸投げすると、抽象的で長い文になりがちです。次のように趣旨を指定すると崩れにくくなります。
- 発表の背景
- 顧客にとっての意味
- 今後の方針
逆に、「前向きなコメントを書いて」だけでは弱いです。
要確認事項を必ず出させる
これは実務でかなり効きます。抜けや曖昧さを末尾に出させるだけで、レビュー観点がそろいます。
要確認事項の例:
- 提供開始日が確定しているか
- 価格表記は税込か税別か
- 引用コメントの発言者名と役職は確定か
- 写真素材やロゴ提供の有無を案内するか
活用例と応用パターン
このテンプレートは、発表の種類ごとに少し変えると使いやすくなります。
新サービス・新機能発表
足したい項目:
- 何が従来と違うか
- 利用開始方法
- 料金
- 対応プラン
- 既存顧客への影響
イベント告知
足したい項目:
- 開催日時
- 会場または配信URL
- 参加条件
- 申込締切
- 登壇者情報
調査リリース
足したい項目:
- 調査主体
- 調査期間
- 対象者条件
- 有効回答数
- 主要な数値3点
調査系は数字が主役です。本文で感想を厚くするより、「どの数字がニュースなのか」を前半に置くほうが読みやすくなります。
提携・協業発表
足したい項目:
- 何のための提携か
- 役割分担
- 提供開始時期
- 顧客に起きる変化
- 既存契約への影響
ChatGPT・Claude・Geminiで使うときの考え方
2026年4月時点の前提では、主要LLMはどれも長文ドラフト、箇条書き整理、指定フォーマット出力に対応しています。違いが出やすいのは、性能の有無というより、どこまで出力形式を厳密に指定したかです。
使い分けの考え方はシンプルです。
- ChatGPT: 出力欄を細かく指定し、見出し順まで固定すると扱いやすい
- Claude: 長めの前提条件や禁止事項を丁寧に渡したいときに相性がよい
- Gemini: 役割、タスク、出力形式を分けて書くと整理された返答になりやすい
- 汎用LLM全般: モデル差より、入力情報の粒度と検収ルールの差が大きい
これは各社の公式ドキュメントで共通している「明確な指示」「具体的な形式指定」「反復調整」の考え方に沿っています。モデル名だけで解決しようとせず、まずプロンプトの欄設計を見直すほうが効果的です。
仕上げ前のチェックリスト
最後に、公開前または社内回覧前にここだけ確認してください。
- 1段落目で誰が何を発表したか読めるか
- 発表日、開始日、対象者が入っているか
- 数字の根拠が曖昧な箇所は残っていないか
- 過剰な最上級表現が紛れ込んでいないか
- 引用コメントが抽象論だけになっていないか
- 問い合わせ先と会社概要がそろっているか
- 未確定情報を「要確認事項」に逃がせているか
プレスリリース用のAIプロンプトは、名文を作るためのものではありません。必要な事実を落とさず、社内確認しやすい初稿を早く出すための型です。次に試すなら、まず自社の過去リリース1本を材料にして、このテンプレートで「要確認事項」が何件出るかを見てください。そこが、そのまま運用改善の起点になります。
参照リンク
- OpenAI Help Center: Best practices for prompt engineering with the OpenAI API
- Anthropic Docs: Prompt engineering overview
- Google Cloud: Overview of prompting strategies
- PR Newswire: How to Write a Press Release: Tips and Best Practices
- PR Newswire: What Is a Press Release? Definition, Examples and Best Practices
- PR Newswire: How to Write an AP Style Press Release
