ペルソナ設計をAIで始めるプロンプトテンプレート 商品企画・営業・採用で使える聞き方
ペルソナ設計にAIを使うなら、最初に任せるべき仕事は「想像で人物像を作ること」ではありません。商品、利用場面、判断基準、ためらいを整理し、チームで議論できる仮説に落とし込むことです。
この記事では、ChatGPT、Claude、Gemini などの汎用LLMで使えるペルソナ設計プロンプトを紹介します。商品企画、営業資料、採用広報、カスタマーサポートなどで「誰に向けて話すのか」を整理したい初心者から中級者向けです。
- 使う場面: 新サービス、資料作成、LP改善、営業トーク、採用コンテンツの方向づけ
- 出力形式: 箇条書き、比較表、質問リスト
- 注意点: AIの出力は仮説。実データ、顧客インタビュー、社内知見で必ず確認する
- 入力時のコツ: 対象者、商品、利用場面、制約、避けたい表現を先に渡す
ここがポイント: ペルソナは「年齢と職業のプロフィール」だけでは足りません。実務で使うなら、購入前に何で迷い、誰に相談し、何を見て判断するかまで出す必要があります。
何に使うテンプレートか
このテンプレートは、AIに顧客像や読者像を整理させ、企画や文章の判断軸を作るためのものです。
たとえば、次のような場面で使えます。
- 新しいサービスのLPを書く前に、読者の悩みを整理する
- 営業資料の冒頭で、相手が気にする論点を洗い出す
- 採用ページで、応募者が不安に感じる点を確認する
- メールやSNS投稿のトーンを、読み手に合わせて調整する
- カスタマーサポートのFAQを、利用者のつまずきから作る
ペルソナ設計で大事なのは、人物像を細かく盛ることではありません。次に作る文章や施策の判断に使えることです。
「35歳、都内勤務、情報収集が好き」のような設定だけでは、見出しや説明文をどう変えるべきか判断しにくくなります。一方で、「導入したいが、上司に費用対効果を説明できず止まっている」と分かれば、資料に入れるべき情報が見えてきます。
コピペ用プロンプトテンプレート
まずは、1人の主要ペルソナを作る基本形です。商品企画、ブログ記事、営業資料、採用広報のどれでも使いやすいようにしています。
あなたは、実務向けのマーケティング担当者です。
以下の情報をもとに、{商品・サービス・企画}の主要ペルソナを設計してください。
# 目的
{このペルソナを何に使うか。例: LP作成、営業資料、採用ページ、メール文面、FAQ作成}
# 対象の商品・サービス・企画
{概要}
# 想定している利用者・読者
{分かっている範囲で入力。例: 中小企業の総務担当、転職検討中のエンジニア、ECサイトのリピーター}
# 利用場面
{いつ、どこで、何に困っている時に接点があるか}
# 提供できる価値
{解決できる悩み、短縮できる作業、得られる成果}
# 制約
- 不明な情報は断定せず「仮説」と明記する
- 実在の個人を特定できる情報は使わない
- 年齢や性別に頼りすぎず、行動・悩み・判断基準を重視する
- 最後に、追加で確認すべき質問を5つ出す
# 出力形式
次の見出しで整理してください。
1. ペルソナ概要
2. 現在の悩み
3. 達成したいこと
4. 判断基準
5. ためらう理由
6. 刺さりやすい訴求
7. 避けた方がよい表現
8. 追加で確認すべき質問
このまま使うと、AIは「人物プロフィール」ではなく、施策に使える判断材料を出しやすくなります。
特に効くのは、出力形式の後半です。
- 判断基準: 価格、導入負担、信頼性、社内説明のしやすさなど
- ためらう理由: 申し込み前に止まる原因
- 避けた方がよい表現: 読み手が警戒する言葉
- 追加質問: 実データで検証すべき点
AIのプロンプトでは、目的、制約、出力形式を分けて書くと結果が安定しやすくなります。OpenAIのプロンプトガイドでも、指示、例、文脈を分けて渡す考え方が示されています。
入力時に変える部分
テンプレートの {} は、毎回変える部分です。全部を完璧に埋める必要はありませんが、空欄が多いほどAIは一般論を出しやすくなります。
必ず変えたい項目
{商品・サービス・企画}: 何のペルソナか{このペルソナを何に使うか}: 出力の使い道{概要}: 商品や企画の内容{利用場面}: 読み手が困っている具体的なタイミング{提供できる価値}: 何を楽にするか、何を改善するか
たとえば「勤怠管理ツール」とだけ入れるより、次のように書いた方が実務で使える出力になります。
対象の商品・サービス・企画:
従業員30〜100名の会社向けの勤怠管理ツール。
紙のタイムカードやExcel集計をやめ、打刻、残業集計、有休管理を一つにまとめる。
利用場面:
月末の勤怠集計に時間がかかり、総務担当者が毎月残業している。
経営者は導入費用と社員への定着を気にしている。
ここまで入れると、AIは「忙しい担当者」ではなく、「月末集計で詰まり、社内説明にも悩む担当者」として整理できます。文章や資料に使える粒度になります。
固定しておきたい条件
次の条件は、多くの業務で固定しておくと便利です。
- 不明な情報は仮説と明記する
- 実在の個人情報を入れない
- 年齢、性別、家族構成だけで決めつけない
- 最後に確認質問を出す
- 出力をそのまま確定情報として扱わない
ペルソナ設計では、AIがもっともらしい人物像を作ることがあります。だからこそ、最初から「仮説」と「確認質問」を出させるのが重要です。
目的別テンプレート
同じペルソナ設計でも、使う場面によって聞き方を変えます。ここでは、業務で使いやすい3パターンに分けます。
商品企画向け: ニーズと導入障壁を出す
商品企画では、欲しい人物像よりも「何に困っていて、なぜ今の方法を続けているのか」が重要です。
{商品・サービス案}について、商品企画で使うためのペルソナ仮説を作ってください。
# 入力情報
- 商品・サービス案: {内容}
- 想定顧客: {対象}
- 解決したい課題: {課題}
- 競合または代替手段: {既存の方法、競合サービス、手作業など}
- 価格帯または導入負担: {分かる範囲で入力}
# 出力してほしいこと
1. 主要ペルソナ
2. 現在使っている代替手段
3. その代替手段を続けている理由
4. 不満が強くなるタイミング
5. 導入を決める条件
6. 導入を見送る理由
7. 検証すべき仮説
# 注意
断定せず、仮説として整理してください。
このテンプレートは、新機能や新サービスの初期検討に向いています。特に「代替手段」を入れると、AIの出力が現実に寄りやすくなります。
営業・提案向け: 相手の判断基準を整理する
営業資料では、相手が何を心配しているかを先に把握した方が、提案の順番を決めやすくなります。
次の商談相手に向けて、提案資料作成用のペルソナを整理してください。
# 商談相手
- 業種: {業種}
- 会社規模: {従業員数・拠点数など}
- 相手の役職: {担当者、管理職、経営者など}
- 提案する商材: {商材}
- 相手が抱えていそうな課題: {課題}
- 提案で避けたい表現: {強すぎる表現、専門用語など}
# 出力形式
- 相手が最初に気にすること
- 上司や社内に説明する時に必要な材料
- 比較されやすい選択肢
- 反論されやすいポイント
- 提案資料に入れるべき順番
- 初回提案で聞くべき質問
営業向けでは、「刺さる言葉」だけを出させるより、反論や社内説明に目を向けた方が使いやすくなります。相手は資料を読んだ後、社内の別の人に説明することが多いからです。
採用・広報向け: 応募前の不安を言語化する
採用広報では、会社が言いたい魅力と、応募者が知りたいことがずれることがあります。ペルソナ設計では、そのずれを早めに見つけます。
{職種}の採用広報に使うため、応募者ペルソナを作ってください。
# 入力情報
- 募集職種: {職種}
- 想定する経験年数: {経験年数}
- 会社の特徴: {働き方、事業内容、組織規模など}
- 応募者に伝えたい魅力: {魅力}
- 応募者が不安に感じそうな点: {分かる範囲で入力}
- 使う媒体: {採用サイト、求人票、SNS、スカウトメールなど}
# 出力してほしいこと
1. 応募者ペルソナ
2. 転職を考えるきっかけ
3. 応募前に確認したいこと
4. 不安に感じる表現
5. 響きやすい情報
6. 採用コンテンツで優先して書くべきこと
7. 面談で確認すべき質問
採用では、実在する社員や応募者の個人情報をそのまま入れないことが大切です。必要なら、複数人の傾向を匿名化して入力してください。
NG例と改善例
ペルソナ設計で失敗しやすいのは、AIに広すぎる依頼をすることです。
NG例
新サービスのペルソナを作ってください。
この指示では、AIは一般的な人物像を作るしかありません。サービス内容、使う目的、対象者、出力形式がないため、結果がふわっとします。
出てきたペルソナを読んでも、LPの見出しを変えるべきか、営業資料の順番を変えるべきか判断しにくいはずです。
改善例
法人向けのオンライン研修サービスについて、LP改善に使うペルソナ仮説を作ってください。
# 前提
- 対象: 従業員100〜500名の企業で、人材育成を担当する管理部門
- 課題: 研修を実施しても受講率が低く、効果測定もしにくい
- 提供価値: 研修の受講管理、理解度チェック、管理者向けレポートを一つにまとめる
- LPで知りたいこと: 読者の悩み、導入前の不安、見出しに入れるべき訴求
# 出力形式
1. ペルソナ概要
2. 課題が強くなる場面
3. 導入前の不安
4. 比較される代替手段
5. LPで先に伝えるべきこと
6. 確認すべき追加質問
改善した点は3つです。
- 用途を「LP改善」と指定した
- 対象者と課題を具体化した
- 出力を、次の作業に使える項目へ分けた
この形にすると、AIの出力を見ながら「見出しは受講率か効果測定を前に出す」「料金より先に運用負荷を説明する」といった判断につなげやすくなります。
出力を安定させるコツ
ペルソナ設計の出力を安定させるには、AIに「何を作るか」だけでなく「何をしないか」も伝えます。
1. 年齢や属性より行動を重視する
年齢、性別、居住地だけでペルソナを作ると、思い込みが入りやすくなります。業務で使うなら、次の情報を優先してください。
- どの場面で困るか
- 何を見て比較するか
- 誰に相談するか
- 何が不安で止まるか
- どの言葉に警戒するか
「30代女性」より、「無料トライアル後に社内稟議で止まりやすい担当者」の方が、施策に使えます。
2. 出力形式を先に決める
出力を自由に任せると、長い文章になったり、見出しの粒度がばらついたりします。比較したい時は、次のように指定します。
出力は次の3列で整理してください。
- 項目
- ペルソナ仮説
- 施策に使う時の注意点
表形式にすると、チームで見直しやすくなります。ただし、WordPressや社内ツールに貼る場合は、列数を増やしすぎない方が読みやすいです。
3. 追加質問を必ず出させる
AIのペルソナは、入力情報から作った仮説です。最後に質問を出させることで、次に確認すべき材料が見えます。
最後に、このペルソナの精度を上げるために、顧客インタビューや社内確認で聞くべき質問を5つ出してください。
この一文を入れるだけで、出力が「完成した人物像」ではなく「検証できる仮説」に変わります。
4. 機密情報と個人情報を入れない
顧客名、社員名、応募者名、メールアドレス、電話番号、契約内容など、個人や取引先を特定できる情報は入れないでください。
必要な場合は、次のように置き換えます。
- 実名ではなく「A社」「既存顧客B」
- 詳細な売上ではなく「月商数千万円規模」
- 個人の発言ではなく「問い合わせで多い傾向」
- 契約情報ではなく「導入前に費用面で確認が必要」
AIの出力は便利ですが、最終判断は人が行う前提で扱います。
活用例と応用パターン
ペルソナを一度作ったら、そのまま終わらせず、次の成果物に変換すると実務で使いやすくなります。
LPやブログ記事に使う
ペルソナの「悩み」「判断基準」「ためらう理由」を、見出し案に変換します。
先ほど作成したペルソナをもとに、LPの見出し案を10個作ってください。
# 条件
- 読者の悩みが先に伝わる見出しにする
- 誇大表現は避ける
- 1案は25文字以内
- 各案に、どの不安や判断基準に対応しているかを添える
営業メールに使う
ペルソナの「最初に気にすること」を、メール冒頭の一文に変換します。
このペルソナに向けた初回営業メールの冒頭文を5案作ってください。
# 条件
- 売り込み感を強くしない
- 相手の業務上の悩みから入る
- 1案は80文字以内
- 専門用語を避ける
会議の論点整理に使う
ペルソナをもとに、企画会議で確認すべき論点を作れます。
このペルソナを前提に、企画会議で確認すべき論点を整理してください。
# 出力形式
- 決めるべきこと
- 判断に必要な情報
- 意見が分かれそうな点
- 次回までに確認すること
ペルソナは、資料の飾りではありません。見出し、メール、営業資料、会議アジェンダに展開して初めて役に立ちます。
使う前のチェックリスト
最後に、AIで作ったペルソナをそのまま採用する前に確認してください。
- 商品や企画の目的が入力されているか
- 対象者の行動や利用場面が入っているか
- 年齢や性別だけで説明していないか
- 悩み、判断基準、ためらう理由が分かれているか
- 不明な点が「仮説」として扱われているか
- 追加で確認すべき質問が出ているか
- 個人情報や機密情報を入力していないか
- 出力をLP、メール、営業資料など次の作業に使える形にしているか
ChatGPT、Claude、Gemini など、どのAIを使う場合でも、基本は同じです。目的、入力情報、制約、出力形式を分け、必要なら例を入れる。これは各社の公式プロンプトガイドでも共通して重視されている考え方です。
次に見るべき点は、AIが出したペルソナが実際の顧客や読者に近いかどうかです。問い合わせ履歴、商談メモ、採用面談でよく出る質問など、すでに社内にある材料で確認すると、ペルソナはただの想像から、施策を直すための仮説に変わります。
