催促メールを角が立たない文面に整えるAIプロンプトテンプレート
返信待ち、資料待ち、承認待ちの催促メールは、AIに「丁寧に書いて」と頼むだけだと弱すぎたり、逆に回りくどくなったりします。
大事なのは、相手との関係、締切、こちらが困っている理由、次に取ってほしい行動を先に渡すことです。この記事では、ChatGPT、Claude、Gemini などの汎用LLMで使いやすい形で、催促メールを失礼なく作るためのプロンプトを整理します。
- 使う場面: 返信、資料、確認、承認、入金、日程調整などの催促
- 向いている人: 仕事でメール文面を毎回悩んでいる初心者から中級者
- 出力形式: 件名、本文、短め版、やわらかめ版、送信前チェック
- 前提: 2026年7月時点の一般的なプロンプト作成方針をもとにしたテンプレートです
ここがポイント: 催促メールのプロンプトでは、「早くしてください」ではなく、「何が止まっていて、いつまでに、どんな返答がほしいか」をAIに渡すと、相手に圧をかけすぎない文面になります。
用途と完成イメージ
催促メールの目的は、相手を責めることではなく、次の行動を取りやすくすることです。
たとえば「資料の確認をお願いします」だけでは、相手は何を見ればよいのか、いつまでに返せばよいのか、返答が遅れると何が困るのかを判断しにくくなります。AIに依頼するときも同じです。
完成イメージは次のようなメールです。
- 件名で用件が分かる
- 冒頭で前回の依頼を自然に思い出してもらう
- 締切や希望日時を明記する
- 相手を責める表現を避ける
- 「返信」「確認」「承認」「送付」など、次の行動を1つに絞る
失礼なく催促する文面は、丁寧な言葉よりも情報の出し方で決まります。 そのため、プロンプトではトーンだけでなく、背景と依頼内容をセットで指定します。
コピペ用プロンプトテンプレート
まずはそのまま使える基本形です。メール文面を一から作りたいときに使います。
あなたはビジネスメールの文面作成を支援するアシスタントです。
以下の情報をもとに、相手に失礼なく催促するメールを作成してください。
# 目的
{何を催促したいか}
# 相手
{社外取引先 / 社内上司 / 社内メンバー / 採用候補者 / 顧客 など}
# 相手との関係
{初めての相手 / 継続取引先 / 近い社内関係 / 目上の人 など}
# 前回の連絡内容
{いつ、何を依頼したか}
# こちらが必要としている理由
{次の作業、会議、納期、確認に必要な理由}
# 希望する期限
{YYYY年MM月DD日 HH時まで / 今週中 / 可能であれば本日中 など}
# 避けたい表現
{急かしすぎる表現 / 責める表現 / 強い督促表現 / 謝りすぎる表現 など}
# 出力形式
- 件名を3案
- メール本文を1案
- より短い版を1案
- 送信前に確認すべき点を3つ
# 文体
{丁寧だが簡潔 / やわらかめ / 社外向けにかしこまった表現 / 社内向けに自然な表現}
このテンプレートは、OpenAI、Anthropic、Google の公式ドキュメントで共通して重視される「具体的な指示」「必要な文脈」「出力形式の指定」を、メール作成用に落とし込んだものです。参考: OpenAIのPrompt engineering guide、AnthropicのPrompt engineering overview、Google GeminiのPrompt design strategies。
入力例
# 目的
見積書の確認結果を催促したい
# 相手
社外取引先
# 相手との関係
継続取引先。普段から丁寧だが、やや忙しい相手
# 前回の連絡内容
7月3日に見積書を送付し、内容確認をお願いした
# こちらが必要としている理由
7月12日の社内承認会議に出すため、金額と条件の確認が必要
# 希望する期限
7月10日 15時まで
# 避けたい表現
強い督促、相手の遅れを責める表現
# 出力形式
- 件名を3案
- メール本文を1案
- より短い版を1案
- 送信前に確認すべき点を3つ
# 文体
社外向けに丁寧だが、長すぎない表現
期待できる出力
AIには、次のような形で出してもらいます。
- 件名: 「見積書の内容について」など複数案
- 本文: 前回送付日、確認依頼、期限、理由を含む文面
- 短い版: チャットや社内メールにも使える軽い文面
- チェック項目: 実際の締切、添付ファイル、相手名の確認
出力された文章は、そのまま送る前に必ず読み直してください。特に、相手名、日付、金額、契約条件、個人情報はAI任せにしない方が安全です。
変える部分と固定したい条件
催促メールでは、毎回変える部分と、毎回固定した方がよい条件を分けると安定します。
毎回変える部分
次の項目は、案件ごとに必ず入れ替えます。
{何を催促したいか}: 返信、資料提出、承認、入金確認、日程回答など{相手}: 社外、社内、上司、部下、顧客、候補者など{前回の連絡内容}: 連絡日、依頼内容、添付資料の有無{必要としている理由}: 会議、納期、次工程、社内確認など{希望する期限}: 日付と時刻まで入れるとぶれにくい
「なるべく早く」だけでは、AIも相手も判断しにくくなります。可能なら「7月10日15時まで」「今週金曜の午前中まで」のように書きます。
固定した方がよい条件
一方で、次の条件は毎回入れておくと、催促メールらしい事故を減らせます。
- 相手を責めない
- 遅延を断定しない
- 謝りすぎない
- 次に取ってほしい行動を1つに絞る
- 件名と本文を分けて出す
- 送信前チェックも出す
特に「お忙しいところ恐れ入ります」を何度も重ねると、文面が重くなります。AIには「謝りすぎない」と明示しておくと、読みやすい催促文に寄りやすくなります。
場面別の追加プロンプト
基本テンプレートに、場面ごとの一文を足すと精度が上がります。
返信が来ない相手に送る場合
追加条件:
前回の依頼を自然に思い出してもらう文面にしてください。
相手が未対応であることを責めず、「念のための確認」という印象にしてください。
この指定は、初回の催促に向いています。相手が単に見落としている可能性があるため、強い言葉を避けます。
締切が近い場合
追加条件:
期限が近いことは明確に伝えてください。
ただし、相手を急かしすぎず、こちら側で次工程があるため確認が必要だと分かる文面にしてください。
締切が近いときは、やわらかさだけを優先すると用件がぼやけます。「なぜ急ぐのか」を入れると、相手が優先順位を上げやすくなります。
社内の上司に承認をお願いする場合
追加条件:
上司に確認・承認をお願いする社内メールとして作成してください。
判断に必要な情報が不足していそうな場合は、本文の後に「追記した方がよい情報」を箇条書きで出してください。
承認依頼では、丁寧さよりも判断材料が重要です。AIに不足情報も出させると、メールを送った後の差し戻しを減らしやすくなります。
採用候補者に返信を促す場合
追加条件:
採用候補者への連絡として、圧迫感のない文面にしてください。
回答期限は伝えつつ、事情がある場合は相談できる余地を残してください。
採用連絡では、企業側の都合だけを押し出すと印象を損ねます。候補者が返信しやすい余白を残すのがポイントです。
NG例と改善例
催促メールの失敗は、言葉遣いだけでなく、指示の曖昧さから起きます。
NGプロンプト
取引先に催促メールを書いて。失礼のない感じで。
この指示だと、AIは次のことを判断できません。
- 何を催促するのか
- いつ依頼したのか
- どれくらい急ぎなのか
- 相手との関係は近いのか
- 件名が必要なのか
- 短文がよいのか、正式な文面がよいのか
その結果、無難だけれど使いにくい文章になりがちです。
改善プロンプト
取引先に、7月3日に送った見積書の確認結果を催促するメールを作成してください。
7月12日の社内承認会議に必要なため、7月10日15時までに確認結果を返信してほしいです。
相手は継続取引先で、強く急かす表現や責める表現は避けてください。
出力は以下の形式にしてください。
1. 件名3案
2. 本文1案
3. さらに短い版1案
4. 送信前チェック3つ
改善点ははっきりしています。
- 催促対象を「見積書の確認結果」に絞った
- 期限を日付と時刻で入れた
- 理由を「社内承認会議」として示した
- 相手との関係を入れた
- 出力形式を指定した
AIに考えさせる部分と、事実として渡す部分を分けることが、失礼のない催促文を作る近道です。
出力を安定させるコツ
催促メールは、少しの言い回しで印象が変わります。プロンプトには、文体だけでなく確認手順も入れておきます。
1. 件名を複数案で出させる
件名は、本文よりも先に相手の目に入ります。1案だけだと、強すぎる件名や曖昧な件名を選んでしまうことがあります。
件名は、以下の3種類で出してください。
- 丁寧で標準的な案
- やわらかめの案
- 期限が伝わる案
「至急」「再送」「未回答」などの言葉は、場面によっては強く見えます。初回の催促では避け、2回目以降でも慎重に使います。
2. 本文の長さを指定する
「丁寧に」とだけ指定すると、AIは長い文章を作りがちです。忙しい相手には、短く要点が分かる方が親切な場合があります。
本文は300字以内にしてください。
長い前置きは避け、前回の依頼、希望期限、お願いしたい行動が分かるようにしてください。
社外向けでも、長ければ丁寧というわけではありません。相手がすぐ判断できる文章にします。
3. 送信前チェックを必ず出す
AIが作った文面には、もっともらしい日付や表現が混ざることがあります。最後にチェック項目を出させると、人間が確認すべき点を見落としにくくなります。
最後に、送信前に人間が確認すべき点を5つ出してください。
特に、相手名、日付、添付ファイル、金額、期限の整合性を確認してください。
機密情報や個人情報をそのまま入力しないことも重要です。必要なら、会社名や氏名を「A社」「担当者Bさん」のように置き換えてから使います。
活用例と応用パターン
このテンプレートは、単なるメール作成だけでなく、催促前の整理にも使えます。
メール送信前の下書き整理
以下のメモをもとに、催促メールに入れるべき情報を整理してください。
不足している情報があれば質問として出してください。
# メモ
{箇条書きのメモ}
# 出力形式
- 催促対象
- 相手
- 前回連絡日
- 希望期限
- こちらが困る理由
- メールに入れない方がよい表現
- 不足情報
いきなり本文を書かせる前に、材料を整理すると失敗が減ります。特に、上司や取引先に送る文面では有効です。
2回目の催促に使う
以下の条件で、2回目の催促メールを作成してください。
前回より期限の重要性は明確に伝えつつ、相手を責める表現は避けてください。
# 前回の催促日
{日付}
# 今回伝えたい期限
{日付と時刻}
# 期限を過ぎた場合の影響
{会議に間に合わない / 発注処理が止まる / 面接日程が確定できない など}
# 出力形式
- 件名2案
- 本文1案
- かなり短い版1案
2回目以降は、やわらかさだけでは伝わりにくいことがあります。ただし、「まだご返信いただいておりません」のような表現は、相手との関係によって強く響きます。AIには「期限の重要性は明確に、責めない」と両方を指定します。
チャット用の短文に変換する
以下のメール文を、社内チャットで送れる短い催促文に変換してください。
失礼にならない範囲で、120字以内にしてください。
# 元のメール文
{メール本文}
# 出力形式
- 標準版
- やわらかめ版
- 期限を強調する版
社内ではメールよりチャットの方が早い場面もあります。同じ内容でも、媒体が変われば長さと温度感を変える必要があります。
最後のチェックリスト
送信前には、AIの文章をそのまま信じず、次の点を確認します。
- 相手名、会社名、役職は正しいか
- 前回の連絡日や添付資料名に誤りはないか
- 希望期限は現実的か
- 相手を責める表現になっていないか
- 謝りすぎて用件がぼやけていないか
- 次に取ってほしい行動が1つに絞られているか
- 社外秘、個人情報、契約条件をAIに入れすぎていないか
催促メールは、丁寧な言葉を増やすほど良くなるわけではありません。相手がすぐに動ける情報を、短く、責めずに、期限つきで渡すことが重要です。
次に見るべきポイントは、1回目の催促で済むのか、2回目以降として期限や影響を少し強めるべきなのかです。そこを見分けてからプロンプトに入れるだけで、AIの下書きはかなり実務に近づきます。
