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AIで文献比較表を作るプロンプト|根拠箇所まで残すレビュー用テンプレート

複数の文献をAIで比較表に整理する研究者のイメージ。

AIで文献比較表を作るプロンプト|根拠箇所まで残すレビュー用テンプレート

論文や報告書を読み比べるとき、AIに「表にして」と頼むだけでは、要約の粒度がそろわず、記載のない情報まで補われることがあります。

必要なのは、1文献を1行に固定し、各セルの根拠箇所と「記載なし」を残す指示です。この記事では、文献本文を渡して比較可能なレビュー表を作るための汎用プロンプトを紹介します。

対象は、卒論・レポート・社内調査などで複数文献を整理したい初心者から中級者です。

この記事で分かることは次のとおりです。

  • 文献レビュー表に入れるべき基本項目
  • そのまま使えるコピペ用プロンプト
  • 可変部分と固定しておきたい指示
  • AIの推測や引用ミスを減らす方法
  • Markdown表、CSV、JSONへの変更方法
目次

このプロンプトで作れるもの

完成形は、各文献の目的・方法・対象・結果・限界を横並びで比較できる表です。 単なる要約一覧ではなく、後から原文を確認できるようにページ番号や節名も記録します。

基本の列は次の構成です。

  • 文献ID
  • 著者・発行年
  • 研究目的
  • 対象・データ
  • 研究方法
  • 主な結果
  • 著者が述べた限界
  • 自分の研究テーマとの関連
  • 根拠箇所
  • 要確認事項

文献の種類によって必要な列は変わります。たとえば実証研究ならサンプル数や分析手法、制度比較なら対象国・対象期間・制度の相違点が重要です。

Cochrane Handbookのデータ収集ガイドでも、レビューに必要なデータを事前に決め、構造化された収集フォームを試行することが重視されています。つまり、AIに読ませる前に「何を比較するか」を決める工程が、表の品質を左右します。

ここがポイント: AIの役割は、渡した文献から指定項目を抜き出して整形することです。採用文献の妥当性や研究結果の信頼性まで、自動的に保証するものではありません。

コピペ用プロンプトテンプレート

以下は、文献本文を入力し、Markdown形式の比較表を作るテンプレートです。複数文献を一度に処理できない場合は、1件ずつ同じ列で抽出してから統合してください。

あなたは文献レビューのデータ整理を支援するアシスタントです。
以下の文献から、指定項目だけを抽出して比較表を作成してください。

# レビューの目的
- テーマ: {レビューのテーマ}
- リサーチクエスチョン: {明らかにしたい問い}
- 対象にする文献: {実証研究/レビュー論文/政策文書など}

# 抽出する項目
1. 文献ID
2. 著者名
3. 発行年
4. 研究目的
5. 対象・データ
6. 研究方法
7. 主な結果
8. 著者が明記した限界
9. リサーチクエスチョンとの関連
10. 根拠箇所(ページ番号、節名、表番号のいずれか)
11. 要確認事項

# 抽出ルール
- 1文献につき1行で整理する。
- 入力文献に書かれている内容だけを使う。
- 情報が見つからない項目は「記載なし」とする。
- 推測で著者名、数値、調査条件、結論を補わない。
- 「著者が述べた内容」と「あなたの整理・解釈」を区別する。
- 数値には単位を付け、原文の条件や母数を省略しない。
- 複数の結果がある場合は、リサーチクエスチョンに直接関係する結果を優先する。
- 根拠箇所を特定できない場合は「要確認」とする。
- 文献間で用語が異なる場合、原語を残したうえで共通表現を括弧内に補う。

# 出力形式
最初にMarkdown表を出力する。
表の後に「確認が必要な点」を箇条書きで示す。
最後に、文献間で共通する結果と相違する結果を、それぞれ3点以内で整理する。

# 文献
<documents>
[文献1]
文献ID: {P01}
書誌情報: {著者、題名、掲載誌など}
本文:
{文献本文}

[文献2]
文献ID: {P02}
書誌情報: {著者、題名、掲載誌など}
本文:
{文献本文}
</documents>

このテンプレートでは、要約と根拠確認を分離しています。特に「根拠箇所」と「要確認事項」を独立した列にすることで、読み返すべき箇所が見つけやすくなります。

入力時に変える部分

毎回変えるのは研究テーマと比較項目、固定するのは推測禁止と欠損値の扱いです。 この切り分けを守ると、文献を追加しても表が崩れにくくなります。

必ず変更する項目

  • {レビューのテーマ}:例「大学生のオンライン学習における自己調整学習」
  • {明らかにしたい問い}:例「自己調整学習を支援する要因は何か」
  • {対象にする文献}:研究デザインや資料の種類
  • {P01}:重複しない文献ID
  • {文献本文}:AIに参照させる実際の本文

リサーチクエスチョンは、「オンライン学習について調べる」のような広い表現より、対象と判断軸が分かる形にします。

対象: 大学生
状況: オンライン授業
確認したい点: 自己調整学習を促進・阻害する要因

文献に合わせて追加する列

実証研究を比較する場合は、次の列が役立ちます。

  • 研究デザイン
  • サンプル数
  • 対象者の条件
  • 独立変数・従属変数
  • 効果量や信頼区間
  • 追跡期間

質的研究なら、対象者の選定方法、データ収集方法、分析方法、主要テーマを加えます。政策文書や業界レポートでは、発行主体、対象地域、対象期間、データ出典を優先してください。

固定した方がよい条件

次の指示は、テーマが変わっても残します。

  • 書かれていない情報を推測しない
  • 不明なセルを空欄にしない
  • 数値の単位と母数を残す
  • 根拠箇所を記録する
  • 原文の記述とAIの解釈を分ける

空欄では、「該当しない」「見落とした」「本文にない」の区別がつきません。「記載なし」「該当なし」「要確認」を使い分ける方が、後工程で確認しやすくなります。

失敗しやすい指示と改善例

最も多い失敗は、AIに比較基準を渡さず、完成形だけを要求することです。 短い指示でも出力は得られますが、文献ごとに違う観点が選ばれ、比較表として使いにくくなります。

NG例:抽出項目が決まっていない

添付した論文を分かりやすい表にまとめてください。

この指示には、レビューの問い、必要な列、欠損値の扱いがありません。そのため、ある文献では研究方法、別の文献では背景説明が中心になる可能性があります。

改善例:比較軸と根拠を指定する

添付した各文献について、研究目的、対象、研究方法、主要結果、著者が述べた限界を抽出し、1文献1行のMarkdown表にしてください。

各セルには入力文献に明記された内容だけを使い、情報がない場合は「記載なし」としてください。主要結果には根拠となるページ番号または節名を付けてください。ページ番号を確認できない場合は「要確認」と記載してください。

変えたのは次の4点です。

  • 比較する列を固定した
  • 1文献1行と指定した
  • 欠損値の表記を決めた
  • 原文へ戻るための根拠情報を求めた

NG例:AIに評価まで一括で任せる

最も信頼できる論文を選び、正しい結論を出してください。

「信頼できる」の評価基準がなく、研究デザイン、バイアス、サンプルサイズなどの異なる論点が混ざります。

まず事実抽出用の表を作り、その後に評価基準を明示した別プロンプトで検討する方が安全です。情報抽出と品質評価を分ければ、どの判断が原文由来で、どこからが評価なのかを追跡できます。

出力を安定させる3つのコツ

列定義、入力の区切り、確認手順の3点を固定すると、出力のばらつきを抑えられます。

1. 各列の定義を書く

「結果」だけでは、統計結果、著者の考察、結論のどれを抽出するか曖昧です。次のように定義を添えます。

- 主な結果: 結果節に記載された、リサーチクエスチョンに直接関係する結果
- 限界: AIが推測した弱点ではなく、著者が本文で明記した限界
- 関連: このレビューの問いに対して、文献が提供する情報を80字以内で整理

2. 文献を明確に区切る

文献IDと区切り記号を付け、どこからどこまでが1件かを明確にします。Googleのプロンプト設計ガイドでも、指示を具体的にし、Markdown見出しやXML風タグなど一貫した構造で情報を区切る方法が案内されています。

長い文献を複数投入すると、利用するサービスの入力上限やファイル解析方法によって、一部が参照されない場合があります。2026年7月26日時点でも上限や対応形式はサービス・プラン・モデルによって異なるため、利用中の公式ヘルプを確認してください。

3. 出力後に自己点検させる

最初の表を最終成果物にせず、次の確認プロンプトを続けて使います。

作成した表を、入力文献と照合してください。

次の項目だけを確認してください。
1. 原文にない情報を補っていないか
2. 数値、単位、対象人数、期間を取り違えていないか
3. 「著者が述べた限界」とAIの評価が混ざっていないか
4. 根拠箇所から内容を確認できるか
5. 同一研究の複数報告を別研究として数えていないか

問題があるセルを「文献ID/列名/問題/修正案」の順で列挙してください。問題がないセルは出力しないでください。

ただし、AIによる自己点検だけで確認を完了させないでください。Cochrane Handbookは、結果解釈に重要なデータを少なくとも2人が独立して抽出することを推奨しています。また、同じ研究が複数の論文として報告される場合があるため、論文単位ではなく研究単位で整理できているかも確認が必要です。

CSV・JSONで受け取る追加指定

後で並べ替えや集計をするなら、Markdown表よりCSVまたはJSONが向いています。 本体テンプレートの「出力形式」を差し替えて使います。

CSVで出力する場合

# 出力形式
- UTF-8のCSVをコードブロック内に出力する。
- 1行目を列名とする。
- 1文献につき1行とする。
- カンマ、改行、ダブルクォートを含む値はCSVとして正しくエスケープする。
- セル内改行は半角スペースに置き換える。
- 情報がないセルには「記載なし」と入れる。
- CSVの前後に説明文を付けない。

JSONで出力する場合

# 出力形式
- JSON配列のみをコードブロック内に出力する。
- 文献1件を1オブジェクトとする。
- キーは document_id, authors, year, purpose, participants, method, findings, limitations, relevance, evidence_location, review_flag に固定する。
- 不明な値は推測せず null にする。
- 数値と文字列の型を統一する。

CSVは表計算ソフトで扱いやすく、JSONはプログラムでの再利用や項目チェックに適しています。途中で形式を変える場合も、列名やキーと意味の対応を固定してください。

活用例:5件ずつ抽出して最後に統合する

文献数が多いときは、小分けに抽出してから統合する方が確認しやすくなります。 一度に大量の本文を渡すと、参照漏れが起きても発見しにくいためです。

実務では、次の順序で進めます。

  1. 最終的に必要な列を決める
  2. 2〜3件で試行し、列定義を修正する
  3. 確定したプロンプトで5件程度ずつ抽出する
  4. 文献IDを維持したまま表を統合する
  5. 重複研究と表記揺れを確認する
  6. 重要な数値と結論を原文で再確認する

統合時には、次のプロンプトが使えます。

以下の複数の文献レビュー表を1つに統合してください。

# 統合ルール
- 列の順序と名称は変更しない。
- 同じ文献IDの行は自動削除せず、「重複候補」として別に列挙する。
- 著者名や手法名の表記は統一するが、意味を変えない。
- 「記載なし」を推測で補完しない。
- 数値が競合する場合は両方を残し、「要確認」とする。
- 統合後、文献IDの欠番と重複を報告する。

{分割して作成したレビュー表}

PRISMA 2020は、システマティックレビューについて、情報源、選定過程、データ収集過程などを透明に報告するための指針です。AIで比較表を作っても、検索条件や採否理由の記録が不要になるわけではありません。レビュー表は証拠選定の代替ではなく、採用した資料から情報を一貫して抽出するための作業台です。

最終チェックリスト

表を完成扱いにする前に、次を確認してください。

  • [ ] 1文献1行になっている
  • [ ] 文献IDが重複していない
  • [ ] 比較列の意味が定義されている
  • [ ] 不明項目が空欄ではなく「記載なし」または「要確認」になっている
  • [ ] 数値に単位・母数・期間が付いている
  • [ ] 主な結果にページ番号、節名、表番号などの根拠がある
  • [ ] 著者の記述とAIの解釈が分かれている
  • [ ] 同一研究の複数報告を確認した
  • [ ] 重要なセルを原文と照合した
  • [ ] 機密資料を利用サービスへ入力してよいか確認した

最初から大きな表を作るより、2〜3件で列設計を試し、根拠箇所を追えることを確認してから文献を追加するのが実践的です。次に見るべき分岐点は、表が埋まったかではありません。別の人が同じ原文を開き、そのセルの内容を再確認できるかどうかです。

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