広告コピーを複数パターン生成するA/Bテスト用プロンプトテンプレ
広告コピーのA/BテストでAIを使うなら、最初にやるべきことはひとつです。「何本作るか」より先に、「何を変数にして比べるか」を固定することです。
同じ商品の訴求でも、価格訴求とベネフィット訴求を混ぜてしまうと、あとで勝ちパターンの理由が読めません。先に比較軸を決め、その軸ごとに複数案を出させると、短文コピーでもかなり使いやすくなります。
この記事は、広告運用のたたき台を早く作りたい人、LPやバナーの文案を増やしたい人向けです。ChatGPT、Claude、Geminiのような汎用LLMで使える形に寄せて、短い広告コピーを複数パターン出すテンプレートをそのまま貼れる形でまとめます。
ここがポイント: A/Bテスト用のコピー生成では、「本数」より「比較条件の固定」と「出力形式の統一」のほうが重要です。
- 使いどころ: 広告見出し、説明文、バナー文言、SNS広告の短文案
- 向いている人: 広告運用担当、EC担当、個人事業主、制作ディレクター
- 狙う出力: 比較しやすい短文コピーを、訴求軸ごとに整理して出す
- 先に決めること: 商品、対象読者、禁止表現、文字数、検証したい軸
何に使うテンプレートか
このテンプレートは、AIに「うまいコピー」を1本だけ書かせるためのものではありません。検証できる複数案を出すためのテンプレートです。
たとえば、次のような場面で使えます。
- EC商品の広告見出しを10案ほしい
- 同じ商品の訴求軸を変えたコピーを比較したい
- LPのファーストビュー文言を短時間で複数案つくりたい
- Meta広告や検索広告向けに、文字数制限つきで案を出したい
ここで大事なのは、AIに自由作文させすぎないことです。
OpenAI、Anthropic、Googleの公式ガイドは、いずれも指示を明確にすること、出力形式を先に定めること、必要なら例を与えることを基本として案内しています。広告コピーでも同じで、商品情報だけ投げるより、比較軸と制約を先に置いたほうが結果が安定します。
コピペ用プロンプトテンプレート
まずは汎用版です。ChatGPT、Claude、Geminiなどでそのまま使いやすい形にしています。
あなたは広告運用チームのコピーライターです。
以下の条件に従って、A/Bテスト用の広告コピーを複数作成してください。
## 目的
{広告の目的}
例: 商品購入、無料登録、資料請求、アプリDL
## 商品・サービス情報
- 商品名: {商品名}
- 概要: {商品やサービスの説明}
- 主な特徴: {特徴1} / {特徴2} / {特徴3}
- 競合との差: {差別化ポイント}
- オファー: {割引、無料体験、特典など}
## 対象読者
- 想定読者: {年齢層・職種・悩み・利用シーン}
- 検討段階: {認知初期 / 比較中 / 購入直前}
- 刺さりやすい価値: {時短 / コスト削減 / 安心感 / 高品質 など}
## テストしたい訴求軸
次の軸ごとに、各{本数}案ずつ作成してください。
1. ベネフィット訴求
2. 課題解決訴求
3. 数字・実績訴求
4. 緊急性訴求
5. 安心感・信頼訴求
## 制約
- 見出しは{文字数上限}文字以内
- 説明文は{説明文文字数上限}文字以内
- 誇大表現、断定的なNo.1表現、薬機法や景表法に抵触しうる表現は避ける
- 同じ語尾や似た表現を繰り返しすぎない
- 抽象的な美辞麗句だけで終わらせず、具体的な価値を入れる
- CTAは強すぎず、自然に行動を促す
## 出力形式
以下の形式でMarkdownの箇条書きにしてください。
### 訴求軸名
- 見出し: ...
- 説明文: ...
- ねらい: ...
## 追加指示
- まず全体方針を1〜2行で要約する
- その後、訴求軸ごとに出力する
- 最後に「最初にテストしやすい3案」を選び、理由を短く添える
短い見出しだけ欲しいときは、出力形式をさらに絞ると使いやすくなります。
見出しのみを出力してください。
各案は1行、番号付き。
訴求軸ごとに5案ずつ、合計25案。
各見出しは{文字数上限}文字以内。
変える部分と固定したほうがよい部分
テンプレートを使うときは、毎回すべてを変えないほうが結果を比べやすくなります。
変える部分
{広告の目的}購入なのか、登録なのかでCTAの強さが変わります。{商品やサービスの説明}1文で済ませず、用途がわかる程度までは入れます。{差別化ポイント}ここが空だと、どの案も似た無難なコピーになりやすいです。{年齢層・職種・悩み・利用シーン}読者像が曖昧だと、「忙しいあなたへ」のような弱い表現に寄ります。{本数}最初は各軸3案から5案が扱いやすいです。
固定したほうがよい部分
- 訴求軸の分類
- 文字数上限
- 禁止表現
- 出力フォーマット
- 最後に自己選定させる条件
A/Bテストでは、生成のたびにルールを変えると比較できません。特に文字数と訴求軸は固定しておくと、実務で並べやすくなります。
NG例と改善例
ありがちな失敗は、AIに「良さそうな広告文をたくさん作って」とだけ頼むことです。これだと量は出ますが、テスト設計には向きません。
NG例
この商品が売れる広告コピーを10個考えて。
この書き方だと、次の問題が起こりやすくなります。
- 何を売りたいのかが浅い
- どの読者向けか不明
- 短文か長文か決まっていない
- 比較軸がなく、似た案が並ぶ
- 強い言い切りや誇大表現が混ざりやすい
改善例
30代の在宅勤務者向けに、姿勢サポートクッションの広告見出しを作成してください。
A/Bテストのため、以下の4軸で各3案ずつ出してください。
1. 長時間作業の負担軽減
2. 見た目のなじみやすさ
3. 手入れのしやすさ
4. 初回購入の試しやすさ
条件:
- 各見出しは22文字以内
- 誇大表現は禁止
- 同じ名詞や語尾の連発を避ける
- 出力は「訴求軸 / 見出し / ねらい」の順
改善後は、どこを比べるのかが明確です。あとでCTRやCVRを見たときも、「短いから勝った」のか「安心感訴求が勝った」のかを読みやすくなります。
出力を安定させるコツ
ここは、コピーの出来よりも再現性に効く部分です。
1. 先に比較軸を書いてしまう
「複数案」とだけ指示すると、表現の違いしか出ないことがあります。そこで、先に軸を切ります。
例:
- 価格
- 時短
- 安心感
- 実績
- 限定性
軸を分けるだけで、似た案の量産をかなり減らせます。
2. 出力形式を固定する
OpenAIやGoogleの公式ガイドでも、形式を明示すると結果が揃いやすいと案内されています。広告コピーでは特に効きます。
おすすめは次のどれかです。
- 箇条書き
- JSON
- HTML table ではなく、まず箇条書き
たとえば運用シートに移す前提なら、最初からJSON指定にしても便利です。
出力をJSON配列で返してください。
各要素は
{"angle":"...","headline":"...","description":"...","intent":"..."}
の形式にしてください。
3. 温度設定は一度に大きく動かしすぎない
APIやツールで温度設定を触れる場合、OpenAIとAnthropicの公式資料は、temperature と top_p を同時に強くいじりすぎない運用を勧めています。Geminiの公式ドキュメントでも、Gemini 3系では温度を既定値から下げると挙動が崩れる場合があると案内されています。
実務では、まず次の順が無難です。
- 1回目: 温度は既定値のまま、指示文を整える
- 2回目: 案が似すぎるときだけ温度を少し上げる
- 3回目: それでも似るなら、温度ではなく訴求軸や禁止条件を見直す
コピーの質を上げる近道は、設定値よりプロンプトの構造修正です。
4. 禁止だけでなく、望ましい書き方も入れる
Googleのプロンプト設計ガイドでは、反例だけで縛るより、望ましいパターンを示すほうが有効だとされています。広告コピーでも同じです。
悪い指定:
- 誇大表現は使わない
- ありがちな表現は避ける
良い指定:
- 誇大表現は使わず、読者が受け取る具体的な便益を1つ入れる
- 「簡単」「便利」だけで終わらせず、何がどう楽になるかを書く
活用例
同じテンプレートでも、媒体に合わせて少し変えると使い勝手が上がります。
検索広告向け
- 見出し文字数を厳しめに設定する
- 説明文は任意にする
- 指名検索と比較検索で訴求軸を分ける
SNS広告向け
- 冒頭の3〜8文字で注意を引く条件を入れる
- 絵文字の可否を指定する
- 口語寄りか、ブランド調かを明示する
LPファーストビュー向け
- 見出し
- サブコピー
- CTA近くの補足文
この3点セットで出させると、そのままワイヤーに置きやすくなります。
モデル別に見るときの使い分け
2026年4月22日時点で、OpenAI、Anthropic、Googleはいずれも公式に、明確な指示、構造化、反復改善を強調しています。したがって、まずはモデル差よりテンプレート差を詰めるほうが効果が出やすいです。
そのうえで実務上は、次の見方をしておくと扱いやすくなります。
- ChatGPT系: 出力形式の指定や短文整理を重視したいときに使いやすい
- Claude系: 条件整理や言い換えの幅を見たいときに試しやすい
- Gemini系: 指示の構造を明確にしたうえで、形式を揃えたいときに向く
ここは絶対的な優劣ではありません。同じテンプレートを入れて比較し、勝った案だけ残すのが実務では最短です。
最低限のチェックリスト
生成した広告コピーをそのまま出稿する前に、ここだけは見ておくと事故が減ります。
- 誰向けの文か、1秒でわかるか
- 訴求軸が混ざっていないか
- 文字数制限を超えていないか
- 禁止表現や強すぎる断定が入っていないか
- 同じ語尾、同じ単語が続いていないか
- クリックは取れても、遷移先の内容とズレていないか
まとめ
A/Bテスト用の広告コピーをAIで作るときは、名文を1本当てにいくより、比較できる複数案を揃える設計のほうが成果につながります。
最後に残すべき作業はシンプルです。
- 訴求軸を固定する
- 文字数と禁止条件を固定する
- 出力形式を揃える
- 初回の勝ち負けを見て、次回は軸を1つだけ変える
この4つが揃うと、AIの出力は「思いつき集」ではなく、次の改善に使えるテスト素材になります。次に見るべきなのは、コピーの出来栄えそのものより、どの訴求軸が反応したかです。
参照リンク
- OpenAI Help Center: Best practices for prompt engineering with the OpenAI API
- OpenAI API Docs: Prompting
- OpenAI Academy: Prompting fundamentals
- Anthropic Docs: Prompt engineering overview
- Anthropic Docs: Models overview
- Google AI for Developers: Prompt design strategies
- Google AI for Developers: Text generation
