数字をでっち上げないOKR作成プロンプト|目標・成果指標・施策を分ける実務テンプレート
このプロンプトは、チームや部署の方針から、Objective(達成したい状態)とKey Results(達成を判断する成果指標)を整理するためのものです。OKRを初めて作る人や、目標が抽象的になりやすいマネージャー、プロジェクト責任者に向いています。
重要なのは、AIに完成版をいきなり書かせないことです。現状値や期限が不足している場合は質問させ、根拠のない数値を補わせないようにします。
この記事で分かることは次のとおりです。
- OKR作成前に用意する情報
- コピペして使える汎用プロンプト
- Key Resultsと施策を混同しない指定方法
- 曖昧な出力を修正するレビュー用プロンプト
- 会議や四半期計画へ展開する方法
このプロンプトで作るOKRの完成イメージ
完成形は「目指す状態」と「達成を判定できる成果」を分けたものです。
OKRは、ObjectiveとKey Resultsで構成されます。Objectiveは何を達成するかを示し、Key Resultsは達成できたかを測る基準です。What Mattersの解説では、一般的な形として1つのObjectiveに3〜5個のKey Resultsを置き、Key Resultsを測定可能かつ検証可能にする考え方が示されています。
たとえば、カスタマーサポート部門で次の状況を改善したいとします。
- 問い合わせへの初回返信が遅れている
- 解決までに複数回のやり取りが発生している
- 利用者の満足度が下がっている
この場合、「返信マニュアルを作る」「研修を実施する」は大切な行動ですが、それだけでは成果を判定できません。OKRでは、次のように分けます。
Objectiveの例
利用者が待たされず、安心して問題を解決できるサポート体験を実現する
Key Resultsの例
- 初回返信時間の中央値を、現状の12時間から6時間以内へ短縮する
- 1回の返信で解決した問い合わせの割合を、現状の45%から65%へ高める
- 問い合わせ後の満足度を、5点満点中3.6から4.2以上へ改善する
施策の例
- よくある問い合わせの返信テンプレートを整備する
- 担当者向けの製品研修を実施する
- 問い合わせの自動振り分けルールを見直す
数値は説明用の仮例です。実際に使うときは、自社で確認した現状値と、期間内に到達可能な目標値へ置き換えてください。
ここがポイント: Key Resultsは「何をするか」ではなく、「何がどこまで変われば達成と判断できるか」を書きます。
コピペ用:OKR作成プロンプトテンプレート
次のテンプレートは、ChatGPT、Claude、Geminiなどの対話型AIで使える汎用形です。{}で囲んだ部分を、自分の状況に合わせて変更してください。
あなたは、組織目標を具体化するファシリテーターです。
以下の情報をもとに、{対象期間}のOKR案を作成してください。
# 目的
チームが優先すべき成果を明確にし、定期的に進捗を確認できるOKRを作る。
# 入力情報
- 組織・チーム名: {チーム名}
- 対象期間: {例:2026年度第3四半期}
- 上位方針: {会社・部門の方針}
- 解決したい課題: {現在の課題}
- 対象顧客・利用者: {対象者}
- 現状値: {確認できている数値。なければ「未確認」}
- 使えるデータ: {集計できる指標と取得方法}
- 制約: {予算、人員、期限、変更できない条件}
- 想定する施策: {検討中の行動。なければ「未定」}
# 作成ルール
1. Objectiveは1つとし、対象期間に実現したい状態を簡潔に表す。
2. Key Resultsは3〜5個とし、成果を数値で判定できる形にする。
3. 各Key Resultに「指標名」「現状値」「目標値」「期限」「測定方法」を含める。
4. 会議開催、資料作成、研修実施などの行動を、そのままKey Resultにしない。
5. 施策はKey Resultsと分けて記載する。
6. 入力にない数値、実績、期限を推測で作らない。
7. 情報不足の場合は、OKR案を作る前に最大5問の確認質問をする。
8. 現状値が不明な指標は「要確認」とし、確認方法を提案する。
9. 各Key ResultがObjectiveの達成を証明できるか点検する。
# 出力形式
## Objective
- 文案:
- このObjectiveが表す成果:
## Key Results
各Key Resultについて、次の項目を箇条書きで示す。
- KR番号:
- 成果指標:
- 現状値:
- 目標値:
- 期限:
- 測定方法:
- Objectiveとのつながり:
## 施策候補
- 各施策がどのKey Resultに寄与するかを示す。
## 要確認事項
- 未確認の数値、責任者、データ取得方法、前提条件を列挙する。
## 品質チェック
- 測定可能か
- 行動ではなく成果になっているか
- Key Results全体でObjectiveの達成を説明できるか
- 対象期間と制約に対して現実性があるか
入力時に変える項目と固定する条件
AIの出力品質は、目標の美しい言い回しより、現状値と測定方法の有無に左右されます。 最低限、次の情報を入力してください。
毎回変更する項目
{チーム名}:誰が責任を持つOKRなのか{対象期間}:四半期、半期、年度など{上位方針}:売上拡大、継続率改善、品質向上など{現在の課題}:現在起きている問題と、その根拠{現状値}:指標の出発点{使えるデータ}:どのシステムや調査から測るか{制約}:人数、予算、法令、既存契約など
固定しておきたい条件
次の指示は、用途が変わっても残しておくと安定します。
- 入力にない数値を作らない
- 情報不足なら先に質問する
- Key Resultsと施策を分ける
- 現状値、目標値、期限、測定方法を明記する
- Objectiveとのつながりを説明する
OpenAIのプロンプト作成ガイドでも、必要な背景を具体的に伝え、希望する出力形式を明示し、結果を見ながら反復して調整する方法が案内されています。OKR作成でも、初稿をそのまま採用せず、確認と修正を挟む使い方が適しています。
失敗しやすい指示と改善例
曖昧な依頼では、AIがもっともらしい数値や一般的な施策を埋めてしまいます。
NG例:材料なしで完成版を求める
営業チームの良いOKRを作ってください。
この指示では、対象期間、課題、顧客、現状値が分かりません。そのため、どの会社にも当てはまりそうな目標になりやすく、達成可能性も判断できません。
改善例:不足情報を先に確認させる
法人営業チームの次四半期OKRを作成します。
いきなりOKRを作らず、上位方針、対象顧客、現在の課題、現状値、利用できるデータ、制約について、重要度の高い順に最大5問質問してください。
回答後、Objectiveを1つ、Key Resultsを3〜5個提案してください。
入力にない数値は作らず、不明な箇所は「要確認」としてください。
Key Resultsと施策は別に整理してください。
変えた点は明確です。
- AIが推測する前に質問する順序を追加した
- Key Resultsの数を指定した
- 数値の創作を禁止した
- 不明点の表示方法を決めた
- 成果と行動を分けた
出力を安定させる3つのコツ
最も効くのは、作成と評価を一度に終わらせないことです。 初稿、レビュー、修正の3段階に分けます。
1. 現状値がない場合は測定設計から始める
基準値がないまま「30%改善」と書いても、妥当性を確認できません。まず、何をどこから取得するかを決めます。
次の課題について、OKRを作る前に測定設計を行ってください。
課題: {課題}
利用できるデータ: {データ}
以下を出力してください。
- 成果を表す指標候補
- 各指標の定義
- データ取得元
- 集計頻度
- 基準値を確認する方法
- 指標を誤解しやすい点
数値は推測せず、未確認事項を明記してください。
2. 指標名だけでなく計算方法を指定する
「顧客満足度を上げる」だけでは、回答数や調査時点が変わったときに比較できません。次のような定義まで求めます。
- 対象となる顧客
- 分母と分子
- 集計期間
- 除外条件
- 使用するシステム
- 集計担当者
3. 別プロンプトで厳しくレビューする
作成時の前提に引っ張られないよう、初稿を評価する専用プロンプトを使います。
以下のOKR案を、承認する立場で厳しくレビューしてください。
# OKR案
{作成したOKR案}
# 評価観点
1. Objectiveは対象期間後の望ましい状態を示しているか
2. 各Key Resultは測定可能で、期限があるか
3. Key Resultが単なるタスクや成果物になっていないか
4. 入力に根拠のない数値が混ざっていないか
5. すべてのKey Resultsを達成したとき、Objective達成と言えるか
6. 指標同士が重複していないか
7. 数値だけを追うことで起きる副作用はないか
# 出力形式
- 総合判定: 採用可能/要修正/作り直し
- 問題点: 重要度が高い順
- 修正理由
- 修正版OKR
- 承認前に人が確認すべき事項
根拠がない内容は補完せず「確認が必要」としてください。
見落としやすい点:測れる活動が成果とは限らない
AIは、回数や件数を含む文章を「測定可能なKey Result」として提示することがあります。しかし、測れることと、成果を表していることは別です。
たとえば、次の項目は測定できますが、活動量に寄っています。
- 商談を100件実施する
- 記事を20本公開する
- 研修を5回開催する
これらが不適切とは限りません。ただし、商談数が増えても受注につながらない、記事数が増えても問い合わせが増えない、研修を開いても業務品質が変わらない可能性があります。
What MattersのKey Result解説でも、準備や行動と、目標への進捗を測る結果は区別されています。活動指標を使う場合は、なぜそれがObjectiveの達成を証明するのかを確認してください。
レビュー時には、各Key Resultへ次の問いを当てます。
- この数字が達成されると、顧客や事業の状態は何が変わるか
- チームが作業量だけを増やして達成できないか
- 数字を満たしてもObjectiveが未達になるケースはないか
- 品質低下などの副作用を監視する指標が必要ではないか
活用例:会議から週次確認までつなげる
OKR案は、作成して終わりではありません。合意形成と進捗確認に使える形へ展開します。
OKR策定会議のたたき台を作る
AIが出した案を会議資料に変換するときは、決定事項と未決事項を分けます。
次のOKR案を、60分の策定会議で検討できる議題に変換してください。
OKR案: {OKR案}
参加者: {参加者の役割}
出力項目:
- 会議で合意すべきこと
- 事前に確認するデータ
- Objectiveへの異論を確認する質問
- 各Key Resultの定義を確認する質問
- 目標値の妥当性を判断する材料
- 会議後の担当者と期限
AIが意思決定せず、人が判断すべき箇所を明示してください。
週次レビュー用の文章を作る
以下のOKRと今週の実績から、週次レビューを作成してください。
OKR: {確定したOKR}
今週の実績: {数値と事実}
先週の実績: {数値と事実}
障害: {進行を妨げている問題}
出力項目:
- Key Resultごとの進捗
- 前週からの変化
- 遅れの原因として確認できる事実
- 次週に実行する施策
- 意思決定が必要な事項
- データ不足の箇所
事実と推測を分け、入力にない成果を補わないでください。
実行前チェックリスト
AIが作ったOKRを承認する前に、次を確認してください。
- [ ] Objectiveがタスク一覧ではなく、実現したい状態になっている
- [ ] Key Resultsが3〜5個に絞られている
- [ ] 現状値、目標値、期限、測定方法が確認できる
- [ ] 根拠のない数値が入っていない
- [ ] Key Resultsと施策が分かれている
- [ ] 全Key Resultsの達成がObjectiveの達成につながる
- [ ] 指標を追うことで起こる副作用を確認した
- [ ] データの取得担当者と確認頻度が決まっている
- [ ] 最終判断を責任者とチームで行った
AIが得意なのは、材料の整理、文案の比較、抜け漏れの指摘です。一方、どの成果を優先するか、目標値が現場に対して適切か、指標のために望ましくない行動が起きないかは、人が判断しなければなりません。
次の分岐点は、現状値を実際に取得できるかです。取得できない場合は、目標値を推測で置くのではなく、最初の期間を基準値の測定に充てるか、別の検証可能な指標へ切り替えてください。
